世代交代の心理的壁を超え、
未来を担う次世代経営リーダーを開発する
企業概要
| 従業員数 | 約5千人(連結) |
|---|---|
| 売上高 | 約1兆円(連結) |
参加者の組織階層
プロジェクトの目的
- 経営トップ自らの経験や知見を次世代に確実に継承する
- 自分を超える人材を育成し、組織の円滑な世代交代を実現する
- 経営トップ主導で後継者育成に関与し、次世代経営リーダーの育成体制を強化する
国内外で多角的な事業を展開する総合商社A社では、創業以来の成長を支えてきた経営トップ層の高齢化が進み、次世代へのバトンタッチが喫緊の課題となっていました。経営層の中では「後継者育成の重要性」は理解されていたものの、実際にそれを主導できるトップは限られ、「自分を超える人材」を育てることへの無意識の抵抗が根強く存在していました。経営トップが関わらず、人事任せで後継者育成を進めた場合、世代交代が混乱するリスクが高まるという懸念もありました。
このような課題を受け、「経営トップ自らの経験と想いを、次世代に確実につなぐにはどうすればよいか」という問いを出発点に、「次世代経営リーダー開発プロジェクト」が立ち上がりました。
プロジェクトの成果
- 経営トップと次世代経営リーダー候補の間で信頼関係と対話の基盤を構築した
- 従来の「トップが選ぶ後継者」から「未来の関係者と共に組織を創る後継者育成」への転換を実現した
- 次世代リーダーを中心とした意思決定・戦略策定が組織内で円滑に進む体制を整備した
プロジェクトにより、経営トップと次世代経営リーダー候補の間で信頼関係と対話の基盤が構築され、従来の「トップが選ぶ後継者」から「未来の関係者と共に組織を創る後継者育成」への転換が進みました。
現在では、後継チームと新たな関係者が中心となり、次期中期経営計画の策定や海外事業の戦略立案を進めるなど、スムーズな世代交代へ向けた動きが始まっています。
現社長自身も「トップ交代の成否は私が決めるものではなく、未来の関係者との関わりにある」と語り、経営リーダーシップの継承における意識変革が組織全体に広がっています。
プロジェクトの流れ
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01 マネジメントの意識変化
プロジェクトは、経営トップへの個別インタビューから始め、世代交代や後継者育成に対する心理的抵抗や無意識の思考パターンを棚卸しした。この過程で、トップ自身が「自分を超える人材を育てる必要性」に気づき、従来の閉鎖的な関与から、積極的に後継者に関わる意識へと変化した。
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02 リーダーの行動変化
「経営リーダーシップの継承と共創」を目的としたプロジェクトを経営チーム内で立ち上げ、世代交代の痛みを超えて未来志向のリーダーを開発するために何をすべきかについて対話が重ねられた。
その一つの取り組みとして、次の経営リーダー候補者を対象に、経営視座を共有しながら、組織としての持続的成長をどう実現するかを協働的に考える「次世代経営フォーラム」を発足させた。この過程で、現トップが自発的に権限委譲を進める動きが加速した。 -
03 周囲・組織の変化
次世代経営リーダーが中心となる意思決定や事業戦略策定が自然に進む環境が整い、組織全体の持続的成長と世代交代のスムーズ化につながった。