内向きの意識を突破し、
研究力を社会価値に変える組織へ
企業概要
| 従業員数 | 約8,000人(連結) |
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| 売上高 | 約1兆円(連結) |
参加者の組織階層
プロジェクトの目的
- 研究開発や成果の発信だけでなく、地域社会に対する価値提供の視点を持った組織文化を醸成する
- 社外に向けて主体的に提案・行動するチームを育成し、リーダー層を中心に組織全体の協働力と行動力を高める
医療系メーカーのA社は、国内外に数十拠点を展開するグローバル企業です。
海外拠点全体の事業はおおむね順調に推移していますが、一部の地域では十分な存在感を示せていないという課題がありました。その中の一つである海外拠点Bでは、研究開発は順調に進んでいたものの、拠点が立地する国や地域コミュニティへの貢献が十分ではないという状況が見られました。
この課題を解決するには、外部との協働を意識した組織文化を醸成し、社外に向けて主体的に提案・行動できるチームを育てることが不可欠でした。そこで、3年間にわたるコーチングを軸とした組織開発プロジェクトの導入を決定しました。
プロジェクトの成果
- 自部門中心の発想から脱し、地域や社会への貢献を自ら考え、提案する外向きの視点が組織に根づいた
- 階層・部門を超えて意見を交わせる風土が生まれ、自分の声が組織を動かすという実感が広がった
- 内外からの感謝や評価を受け、取り組みへの誇りと自信が社員一人ひとりに育まれた
3年間にわたる取り組みを重ねる中で、組織の視点が内向きから外向きへと大きく変化しました。
当初は自部門の範囲だけに目を向けがちだった社員が、地域社会に開かれた取り組みを自発的に提案するようになりました。「社会へ貢献するにはどうすればいいか」という言葉も日常的に聞かれるようになり、外向きの発想が根づき始めています。
また、階層や部門を超えて自由に意見を出し合える雰囲気が醸成され、自身の提案が採用される場が増えたことで、「自分の声が組織を変えられる」という手応えを感じる社員が増えています。社内外から感謝や評価の声もが届いており、社員の誇りと自信にもつながっています。
プロジェクトの流れ
1年目は本社から異動してきたマネージャーを中心にインターナルコーチに任命し、社内でのコーチングをスタートしました。2年目からは現地採用のマネージャーを加え、3期目にはインターナルコーチの多くが現地採用のメンバーとなりました。
各期には、プロジェクトの目的を丁寧に共有するキックオフや、異なる部署同士の社員がペアとなり対話を重ねる取り組みなどを実施するほか、成果の振り返りも行っています。
また、経営トップ自身もエグゼクティブ・コーチングを継続し、リーダーとしての在り方を磨きつつ、対話の文化を組織全体に広めていきました。
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01 リーダーの意識の変化
社長自らがコーチングを通じて組織の課題とありたい姿を言語化したことで、その実現に向けたプロジェクトを立ち上げ、組織変革への舵を大きく切ることになった。
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02 リーダーの行動変化
対話型組織への変容を促すため、拠点のリーダー層を対象にコーチングの習得と実践を組み合わせたプログラムを実施した。普段接点の少ないメンバー同士をペアにすることで、組織内の課題意識や共通認識が明確化され、そこから複数の具体的な提案が生まれた。この経験を通じて、対話の文化が徐々に浸透し、部下にも通常業務とは異なる、外向きの挑戦に取り組む意欲が喚起された。
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03 周囲・組織の変化
プロジェクトを通じて社員の視点が外に広がっただけでなく、答えのない課題に対しても、チーム全員で試行錯誤しながら解を構築していく意識が芽生えつつある。
大きな目的に対しては複数のアプローチが可能であり、正解・不正解にとらわれず、自ら最適と思う方法を見出していこうという姿勢が形成されている。