「挑戦を避ける」文化から脱却し、
主体性を発揮できるリーダーの数を増やす
企業概要
| 従業員数 | 40,000人超(連結) |
|---|---|
| 売上高 | 9,000億円超(連結) |
参加者の組織階層
プロジェクトの目的
- 経営について議論し、目標を周囲に共有しながら、会社の持続的成長に向けてリーダーシップを発揮できる人材を開発する
- 役職や年齢に関係なく主体性を発揮できるリーダーの数を増やす
A社は、国内外に事業を展開する情報通信企業です。創業以来、順調な成長を続けてきましたが、市場ニーズの多様化や海外事業の拡大に伴い、従来の延長線上のマネジメントでは対応しきれない局面に直面していました。
独自の専門技術で業界をけん引してきたA社ですが、市場の縮小や競合他社の台頭が著しい事業環境のなか、持続的成長に向けたイノベーションを起こせる組織づくりが喫緊の課題でした。
そのためには、歴史ある企業であるがゆえの「挑戦を避ける」文化から脱却し、役職や年齢に関係なく、主体的に行動を起こせる人材開発が必要でした。
「挑戦し続ける組織文化を目指しながら、主体性を発揮できるリーダーの数を増やす」 をプロジェクトテーマに、社長自らが約5年間にわたるプロジェクトを立ち上げ、経営層とトップマネジメント層を中心にコーチングを導入されました。
プロジェクトの成果
- 経営会議中における取締役の発言が増え、経営チームの対話が活性化した
- 上司だけではなく、部下が意見を述べる場面が増え、対話を重ねてそれぞれの強みを活かそうとする文化への移行が進んだ
- 部下自身が意見を積極的に述べることで責任感が生まれ、行動にも変化が現れた
A社では、プロジェクト開始から5年の間に社員間の対話が活性化し、上意下達のカルチャーから対話を重視する文化への移行が進んでいます。
経営チーム間においては、中長期的な視点での議論が増加しているほか、マネジメント層のリーダーシップも上意下達から、部下の意見を傾聴しながら目標達成に向けて協働するスタイルへと変化しています。その結果、部下も主体的に目標を設定し、覚悟を持って行動する姿勢が育まれています。
「コーチングは短期的な成果を求めるものではなく、中長期的な成長を目指すためのアプローチである」との考えのもと、今後も、コーチングを通じて社員の意識を変革し、次世代リーダーを育成する取り組みを継続していく意向を示しています。
プロジェクトの流れ
本プロジェクトは、A社の社長がエグゼクティブ・コーチングを受け、その効果を体感されたことをきっかけにスタートしました。導入初年度には、社長自らがインターナルコーチとして取締役10名を直接コーチングされました。次年度には、経営チームに対話を体感してもらうプログラムを導入し、最終的には部室長にまで対象を拡大してコーチングを導入されました。
並行して、複数名のステークホルダーを担当するインターナルコーチとして取締役5名を指名するなど、コーチングを通じた対話の文化を広げていきました。
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01 リーダーの意識の変化
コーチングを通じて社長自身のゴールや目指す企業像を客観的に言語化することで、その実現のために何が必要なのかについて立ち止まって思考するようになった。これをきっかけに、社長自らがインターナルコーチとなり取締役のコーチングを開始するとともに、コーチングプロジェクトを立ち上げた。
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02 リーダーの行動変化
経営チームもコーチングを通じた対話を体験することで、短期的な成果だけではなく、中長期的な視点での議論が活発になった。
また、インターナルコーチとして取締役が部下と関わるほか、トップマネジメント層がコーチングを体験的・体系的に学ぶことで、トップマネジメント層のマネジメントスタイルにも変化がみられた。 -
03 周囲・組織の変化
トップマネジメント層の上意下達なコミュニケーションが薄れてきたことで、「上司に言われたから」という他責思考から、「自分はどうしたいか、何が出来るか」という自分事化した思考・発言がミドルマネジメント層以下でも見られるようになった。
また、会議における上司の発言が7割を占めていたのが、コーチングプロジェクトを開始して数年経つと、部下が意見を積極的に発言する割合が大きく増えた。