当社は、コーチング・セッションの音声データをもとに、AIがセッションの品質を確認・評価するコーチング品質評価ツールを開発いたしました。本ツールは、ICF(International Coaching Federation)*¹が定めるICFコア・コンピテンシー*²とPCCマーカー*³の基準を活用していることに加えて、当社が蓄積してきたコーチング・セッション評価の知見を融合し、独自に開発したものです。
本ツールの活用により、当社が提供するコーチングの品質評価体制をさらに最適化し、当社コーチの継続的な能力向上およびコーチング品質の更なる向上を目指します。
開発の背景
当社は、創業以来一貫してコーチングの品質向上に取り組んでおり、コーチの育成においても、社内トレーニングや能力評価の仕組みを独自に整備・運用してまいりました。
当社では、四半世紀にわたって蓄積したコーチングに関する実績と知見に基づいて独自開発した各種トレーニングのほか、海外の著名なコーチや熟練度の高い当社トップコーチによるトレーニングなどにより、在籍コーチの継続的な能力向上を図っています。
また、当社の研究開発部門である「コーチング研究所」では、世界に先駆けてコーチング成果の可視化に取り組み、その研究成果をサービスの改善に活かしています。
こうした各種取り組みの中でも、特に社内の専門的な訓練を受けた評価者によるコーチの能力評価は、当社のコーチ育成において重要な取り組みの一つだと認識しています。
この能力評価は、ICFコア・コンピテンシーおよびPCCマーカーを活用して行われ、クライアントの合意のもと、録音されたセッションを複数名の評価者が確認する形式で行われています。しかし、すべてのセッションを人の手で評価するには、多大な時間と労力を要します。
この課題を解決し、コーチング・セッションの評価とフィードバックをより効率的に行い、当社コーチの成長をさらに加速させるために、AIを活用した品質評価ツールの開発に至りました。
*¹ ICF(International Coaching Federation)
世界最大規模のコーチの非営利団体である国際コーチング連盟を指す。
*² ICFコア・コンピテンシー
優れたコーチの行動特性をICFがまとめたもので、「基盤を整える」「関係をともに築く」「効果的なコミュニケーション」「学習と成長を促す」の4つの要素から成り立っている。
*³ PCCマーカー(Professional Certifed Coach Marker)
ICFコア・コンピテンシーに基づいてコーチングが行われているかを評価するためにICFが設計したもので、ICFコア・コンピテンシーを具体的な行動レベルで示している。
ツールの特徴と価値
本ツールは、ICFコア・コンピテンシーおよびPCCマーカーを活用しているほか、当社の経験豊富で特別な社内訓練を受けた評価者のナレッジを活かし、独自に開発したものです。コーチング品質評価ツールは、AIがコーチング・セッションの音声データを解析し、一次的にセッションの品質を確認・評価するほか、人による、より詳細な評価およびフィードバックが推奨されるセッションの抽出が可能です。
これにより、当社で実施されるコーチング・セッションの評価およびフィードバック体制の一層の最適化が期待できます。これにより、コーチングセッションの品質確認や改善が迅速に行えるようになるとともに、社内コーチの育成スピードと継続的な能力向上も促進され、結果として当社のコーチングおよび各種プログラムの品質向上につながります。
なお、解析に使用するコーチング・セッションの音声利用については、その利用目的をコーチング品質の向上に限定し、クライアントから明確な合意を得たものです。
当社は、今後もコーチングの品質向上に向けた各種取り組みを行っていくほか、当該ツールの本格運用を目指して開発を進めて参ります。
株式会社コーチ・エィについて
コーチ・エィは、組織変革を実現するエグゼクティブ・コーチング・ファームです。
人と人との関係性に焦点をあて、システミック・コーチング™というアプローチで、組織全体の変革を支援する対話を通じた組織開発を推進しています。
1997年の創業(当時はコーチ・トゥエンティワン)以来、約30年にわたりパイオニアとして日本におけるコーチングの普及・拡大に貢献してきました。クライアントの約8割(売上高比)がプライム市場に上場している大企業です。また、コーチ人材の開発にも力を入れており、今まで1万人以上のコーチを輩出してきました。
2008年にはコーチング研究所というリサーチ専門の部署を構え、世界に先駆けてエビデンス・ベーストのコーチングサービスを提供してきました。豊富なコーチング実績の分析データをもとに、コーチングに関する学術研究や成果の可視化に向けた研究に取り組んでいます。
東京のほか、ニューヨーク、上海、香港、バンコクに拠点を構え、日本企業の海外拠点はもとより、海外現地企業にもコーチングを提供しています。世界的なコーチ養成機関の草分けであるCoach Uを2019年に子会社化するなど、さらなるグローバルネットワークの拡大を図っています。