問題行動とするか、挑戦行動とするか Vol. 220 |コーチングファーム コーチA

Biz Coach Magazine

プロフェッショナルコーチによる現場実践コラム

問題行動とするか、挑戦行動とするか

Vol. 220 : 2010/03/18

先日、東京発、新大阪行きの新幹線に乗り、浜松を過ぎたあたりで
1両離れたトイレに向かうため、席を立ちました。

前の車両を通り抜けようと自動扉を開いた瞬間・・・驚きの光景!・・・

車両中に響き渡る、動物園のような奇声!
通路をふさぐように広げられた、修学旅行生の足!
さらに、近づいても足を引っ込める素振りなし!

思わず
”なんなんだ~、こいつら?”
”まったくどんな学校だ~?”
半ばあきらめに近いような、一気にこちらのエネルギーが
削がれるような感じがします。

(そういえば最近こういう場面、よくありませんか?!)

そのときの私は、車両の行き帰りともそそくさと、
学生の間を避けるように車両を移動し、自分の席に舞い戻りました。

ただ、席に戻った後もなんとなく釈然とせず、その学生たちの事を考えていると、
ふと、以前聞いた話を思い出しました。


「梅原さん、人の【問題行動】ってあるじゃないですか。
 日本ではそのまま【問題行動】というんだけれども、
 海外では【problem Behavior】いう言葉は無いんだよね。
 代わりに【challenging Behavior】というんですよ。」

これはある福祉法人の代表の方から教えてもらった話です。

【challenging(挑戦的) Behavior(行動)】とは、
主に教育、介護で使われる言葉です。
ひとつは、人が問題行動を起こすときは、その行動に対して周囲がどう答えるのか、
行動をした本人が無意識的に、周囲に対して【挑戦】をしている。
という考え方です。

また、もうひとつの意味もあります。
それは、介護、教育をしていく側も、その人の【行動】が【問題】だ。
というくくりで、やや上から物事を考えるのではなく、
その人の【行動】に対して、どんな【挑戦】ができるか?と考える。

つまり、相手の【問題行動】を、自分の【挑戦しがいのある行動】と考える訳です。


この話をコーチングの中で、あるクライアントさんに対して、
話したことがありました。

その方は大手企業の課長Aさんで、
そのAさんを中心としながら、組織横断的に人が集まるような
部下、後輩、そして上司からも、非常に信望の厚い人でした。

しかしあるセッションで、いつもは元気なAさんが、
いつになく気を落としている。気になって話を聞いてみると、
下に顔を向けながら、ポツリと話し出します。

「実は、子供が不登校になりまして・・・」

もちろん私たちは「ビジネス・コーチ」なので、
ビジネスのテーマを扱います。
ただ、このときのAさんは、その問題がビジネスに支障をきたす可能性があるほど
気を落としていたため、あえてそのセッションでは、
お子さんのことについて話を伺いました。

そして、上述の【challenging Behavior】の話をした後、Aさんに聞きました。

「お子さんの行動は、何を訴えかけているのでしょうか?」

じっくりと考えながらAさんは

「子供にあれこれ問題点について、言い過ぎていたかもしれませんね・・・。
  子ども自身もたまっている考えがあるのかもしれません。
  言われてみれば、親としてほかにも選択肢はありますね。
  もう少し子供の話を聞くようにしてみます・・・」

また、セッションの最後で言っていた、Aさんの一言は
今でも印象深く残っています。

「仕事で、部下の問題行動に対して、リーダーとしてどう挑み、
  どうリーダーとして成長するか?と常に考えてきたが、
  家庭で子供の問題行動に対して、父親としてどう挑み、
  どう父親として成長するか?ということは考えたことがありませんでした。」

相手の【行動】を、【問題行動】と考えるのか、
【挑戦しがいのある行動】と考えるのか。
あらためて、そのフレームを変えて覗いてみると、
違った見え方ができ、行動も変わります。
これを【リフレーミング(※)】と呼びます。

その中でも相手の【問題行動】を【challenging Behavior】という言葉に
リフレーミングすることは、【挑戦の先のお互いの成長】まで
イメージできる感じがし、私自身とても好きな言葉です。


さて、新幹線が新大阪駅に近づいたころ、
私の頭の中に1つの問いがぐるぐると回り続けていました。

修学旅行生のいわば【問題行動】を、【挑戦しがいのある行動】と考えると・・・

”修学旅行生の【行動】に対して、私は【大人】として
 どんな【挑戦】をするべきなんだろうか?”

              ◆◇◆

意外にもその答えを試す機会がすぐに訪れました。
帰りの新幹線で遭遇したのは、また修学旅行生。それも女子高生の大群!
さすがに、足こそ広げてませんが、席を移動していて
通路はふさがっているわ、また、その騒音たるや、
行き修学旅行生の2倍ぐらいにも感じます。
(ある意味、こちらのほうがチャレンジャブル!)

しかし、狭い通路を四苦八苦しながら通り抜けてよく見ると、
一人、身をよけて通れるスペースを作ってくれる女の子がいます。
「ありがとう」
当然、普段でもかける一言です。
(行きの新幹線ではそんな一言ですら、かけられませんでしたが・・・)

ただその時は、あえて、一呼吸おいて、
その子の目を見ながら言ってみました。

「ありがとう」

女子高生は照れくさそうにしながらも、私が通り過ぎた後、
「ちょっと邪魔になるから、席を移動しない?」
なんてことを話しています。

些細な【挑戦】でしたが、行きとは違う後味を感じたのは確かでした。


(※)リフレーミング(reframing)とは、ある枠組み(フレーム)で
   捉えられている物事を枠組みをはずして、違う枠組みで見ることを指す。
   同じ物事でも、人によって見方や感じ方が異なり、
   ある角度で見たら長所になり、また短所にもなる。
   有名な例では、靴のセールスマンが、未開の地の原住民が
   みんな”裸足”でいるのを見て、”ここに靴の需要はない”と考えるのか、
   ”誰も靴を履いていない。これ以上ないマーケットだ”
   と考えるのかで行動の違いが出る。ということ。

梅原由貴
シニアビジネスコーチ

webからのお問い合わせお問い合わせフォーム
お電話によるお問い合わせ 03-123-4567
  • Biz Coach Magazine
コーチングファーム コーチA  コーチングコラム一覧  Vol. 220 問題行動とするか、挑戦行動とするか